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血尿

血尿とは

血尿とは、赤血球という血液の成分が尿の中に混入されている状態です。 血尿は、尿を作る腎臓や、作られた尿を通す尿路、もしくはそれらの周辺の疾患の症状として出てくるケースが多いです。 そのため、血尿の症状を良くするには、原因を正確に見つけなくてはなりません。

血尿のタイプ

血尿は肉眼的血尿と顕微鏡的血尿の2種類に分かれています。
肉眼的血尿とは、目視した際、「尿が赤い」とすぐに分かるタイプの血尿です。血の塊が混ざっている血尿もありますが、水分不足や薬の影響によって尿が褐色になって、それが血尿に見えているケースもあります。
顕微鏡的血尿とは、尿検査で赤血球が見つかるタイプの血尿です。肉眼で見つけることはできず、健康診断で行われる尿潜血などをきっかけに、発見されるケースが多いです。
しかし、多くの健康診断で行われる尿潜血検査は、簡易的なものです。そのため、尿潜血で陽性を指摘されても、血尿と言い切れるほど赤血球が混ざっていない可能性も捨てきれません。尿潜血検査で陽性を指摘された場合、まずは泌尿器科で詳しく調べることが大切です。

血尿以外の症状があるかどうか

血尿は、他の症状と一緒に現れることもありますし、血尿単独で現れるケースもあります。他の症状と一緒に現れる場合は、排尿時痛やお腹・背中に痛みが起こったり、頻尿や残尿、発熱が現れたりします。これらの症状(症状の起こるタイミング)は、血尿の原因となる疾患を判断する手がかりになることがあります。
なお、例え他の症状がなく血尿だけ現れる場合にも、何らかの異常が隠れている可能性がゼロとは限りません。実際に膀胱がんの約80%は、他の症状がない肉眼的血尿を機に見つかったと報告されています。 まずは、原因を見つけることが大切です。

血尿が出る原因

腎臓は血液をろ過することで尿を作ります。作られた尿は、腎盂(じんう)という器官から尿管を経て膀胱へ運ばれます。一時的に膀胱内へ溜められた尿は、尿道から体外へ出されます。
この尿の流れや、その周囲の組織に何らかの異常が起きると、血尿が現れることがあります。血尿の原因となる疾患は、軽度で治りやすいものから重篤で危険なものまで様々です。主に、以下のような疾患が血尿の原因とされています。

腎臓系の疾患

腎炎(IgA腎症など)や腎臓がん、腎臓内の血管異常などによって、血尿が出ることもあります。また、腎臓内に結石ができたことで、血尿が出るケースもあります。

尿路系の疾患

尿路とは、腎臓の一部分である腎盂から尿管と尿道まで、尿が排出されるまでの通り道のことです。
腎盂腎炎や膀胱炎などの尿路感染症をはじめ、尿路結石や膀胱結石などの尿路結石、腎盂尿管がん、膀胱がんの疾患は、血尿が起こる代表的な尿路系疾患です。

前立腺に起こる疾患

前立腺は男性のみにある器官です。膀胱と尿道の近くに位置しています。 前立腺炎や前立腺肥大症、前立腺がんなどによって、血尿が出ることもあります。

血尿の検査

血尿の原因を突き止めるためには、血尿の程度を確かめる検査と、血尿の背景にある疾患を見つける検査が必要です。一般的には、以下のような検査が行われます。

尿検査

尿に含まれる成分を分析する検査です。尿潜血や蛋白などの異常をチェックします。

尿沈渣(ちんさ)検査

尿を遠心分離してから、沈んだ物質を顕微鏡で調べる検査です。血尿の診断に必要な赤血球の数をはじめ、炎症が起こった時に増える白血球の数なども分かります。

尿細胞診検査

尿中に混じっている細胞(がん細胞など)を調べる検査です。血尿があった時に行われます。がんや炎症などの疾患の有無は、この検査で調べられます。

超音波検査

超音波診断装置で腎臓や膀胱、前立腺などを調べる検査です。結石や腫瘍があるかどうかや、膀胱に残っている尿の量、前立腺の大きさなどをチェックします。

その他検査

血尿の原因が絞り込めたら、さらに詳しく調べるために別の検査をします。腎炎の有無を調べる血液検査や、膀胱の中を調べる内視鏡検査(膀胱鏡検査)、結石や腫瘍の位置・大きさを調べるX線やCT・MRIなどの検査があります。CT検査などが必要な場合には連携する医療機関を紹介します。

血尿の治療法

血尿の原因を見つけるためには、患者様の苦痛を最小限に抑えながら、いくつかの検査を行うことが必要です。そこから正確な診断をつけられるよう、努めていきます。
当院では、検査を丁寧に行い、正確な診断を目指しています。血尿の原因となる疾患が分かりましたら、その疾患の治療を行って血尿や他の症状を改善します。例えば、細菌感染による膀胱炎などの尿路感染症の場合は、抗生物質を用いる治療を行います。尿路結石などの尿路結石につきましては、痛みの軽減にも対応しながら治療を進めます。
しかし、検査を行っても、血尿の原因がハッキリ分からないこともあります。その場合は、他の症状がないとしても、定期的に検査や診察を行い、僅かな変化でも速やかに対応できるように尽力します。
なお、必要な検査であったとしても、当院で行うのが難しい検査もあります。その際は、より設備が充実している近隣の医療機関を紹介します。 どうぞ安心して、まずは当院にご相談ください。