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血精液症(精液に血が混ざっている)

血精液症とは?

精液中に血液が混じることを血精液症といいます。通常、精液は白濁色で粘性を帯びていますが、血液が混じると赤や茶色に変色します。

精液中の血液の混入は、生殖器系統のどこかに微小な出血が起こっている可能性を意味します。主に、精嚢(せいのう)腺、前立腺、尿道、精管といった構造が関係しており、それらの器官のどこかで血管が傷つくことで出血が発生するのです。血液は精液に混ざる過程で変色するため、新鮮な赤色の場合もあれば、古い血液が酸化して茶色っぽく見える場合もあります。

また、医学的には「一次性血精液症」と「二次性血精液症」に分類されることもあります。一次性は明確な基礎疾患が存在せず、自然に治癒するケースを指し、二次性は何らかの疾患が原因で起こるものです。診断や治療にあたっては、この分類が重要な指標となります。

 

血精液症に伴う症状とは?

血精液症は、精液の色の変化だけでなく、症状を伴う場合もあります。たとえば、前立腺や精嚢腺に炎症があると、下腹部や会陰部(陰嚢と肛門の間)に鈍痛や不快感を伴うことがあります。また発熱や寒気といった全身症状を呈することもあり、これは細菌感染を疑う重要な所見です。このような症状がある場合、早急な検査と治療が必要になります。症状が数日で収まらない場合には、必ず泌尿器科専門医の診察を受けることが推奨されます。

血精液症の原因:機能性と器質性に分けて理解する

血精液症の原因として、前立腺や精嚢腺の炎症や、うっ血などの局所の循環障害、精巣・精巣上体・精嚢・前立腺の腫瘍、結石などが挙げられます。さらに、止血機能の異常や血管壁が脆弱になっている場合には、射精時の物理的刺激で微小血管からの出血が誘発されることもあります。

しかし、原因がはっきりしない場合がほとんどです。

そのうえで血精液症の原因は多岐にわたりますが、臨床的には「機能性」と「器質性」に分類することで、その鑑別がしやすくなります。

機能性の原因

機能性では、臓器に器質的異常が見られないタイプで、性交渉や射精の頻度、ストレス、過労などが関与することが多いとされます。特に若年男性ではこの機能性血精液症が大半を占め、自然経過で改善する傾向があります。

器質性の原因

器質性は、特定の器官に明確な病変や炎症、腫瘍などが見られる状態で、中高年の男性に多く見られます。器質的原因の代表格としては、前立腺関連の疾患が挙げられます。前立腺は射精時に精液とともに分泌液を排出する重要な臓器であり、炎症(前立腺炎)や腫瘍(前立腺癌)などが発生すると、精液に血が混ざることがあります。
また、精嚢腺も同様に血精液症の原因となりうる部位です。精嚢腺炎は主に細菌感染が原因で、発熱や排尿障害を伴うこともあります。

血精液症は本当に危険なのか?

多くの患者が最初に抱く不安は、「これは癌なのではないか」という懸念でしょう。たしかに、血精液症の一部には前立腺癌や膀胱癌などの悪性腫瘍が関与しているケースも存在します。特に50歳以上の男性で、繰り返し血精液症を経験する場合には、悪性疾患の可能性を排除する必要があります。しかし、統計的には大多数の血精液症は良性であり、前述のように一過性に過ぎないことがほとんどです。

とはいえ、安易に自己判断で済ませるのは禁物です。良性か悪性かの判断は見た目や感覚だけでは不可能であり、必ず医学的な検査による鑑別が求められます。特に、排尿障害、発熱、持続的な下腹部の痛みを伴う場合や、家族歴に前立腺疾患がある方は、泌尿器科の受診が強く推奨されます。初回の出現であっても、詳細な診察を受けておくことが精神的安心にもつながるでしょう。

血精液症の診断プロセス

前立腺肥大症の診断においては、泌尿器科での専門的な評価が必要です。診察ではまず、患者が自覚している症状の程度や頻度について詳しく聞き取る問診が行われます。次に、尿検査で炎症や感染の有無を確認し、尿の勢いを測る「尿流測定」や、排尿後にどれだけ尿が残っているかを確認する「残尿測定」などが実施されます。

血精液症に対する治療方法

治療は、出血の原因に応じて異なります。検査で炎症疾患が疑われる場合には抗生物質や抗炎症薬の投与を、出血が持続する場合は止血剤の投与が行われます。
慢性前立腺炎の場合は、数週間から数ヶ月にわたる治療が必要な場合もあります。

さらに、腫瘍や結石、血管異常といった器質的疾患が明らかになった場合は、手術的治療も選択肢となります。結石の摘出術、前立腺肥大の切除、動脈塞栓術などが行われることがありますが、適応は慎重に検討され、患者の全身状態や年齢、合併症の有無が考慮されます。

再発する血精液症と慢性化リスク

血精液症が再発する場合、それは単なる偶発的な出血ではなく、慢性的な疾患の存在を示している可能性があります。特に慢性前立腺炎は、短期的な抗菌薬治療では不十分であり、長期的なフォローアップと生活習慣の見直しが不可欠です。

血精液症と性行為

血精液症が発生した際、性行為を続けてよいかどうかは多くの患者にとって重要な疑問です。基本的には、原因が感染症でない限り、性行為そのものが出血を悪化させることは少なく、継続しても問題ありません。しかし、感染性血精液症の場合は、パートナーへの感染リスクを考慮し、治療完了まで性行為を控えることが望ましいとされています。

血精液症を予防するには?

予防策としては、まず生殖器系統を清潔に保つことが基本です。また、定期的な水分補給を心がけ、長時間の座位を避けることで骨盤内のうっ血を予防することができます。射精の頻度を調整し、過度な摩擦を避けることも予防に寄与します。

血精液症は、その見た目のインパクトとは裏腹に、ほとんどの症例で数週間から数ヶ月で自然に改善されます。血精液症は重篤な疾患が原因であることは少なく、数か月で改善されることがほとんどです。しかし、悪性疾患が見つかる場合も数%あるので不安な方は泌尿器科受診をおすすめします。

正確な診断と適切なタイミングでの医療機関の受診が、早期の安心と健康回復に繋がります。

 

よくある質問(FAQ)

Q1: 血精液症は性病ですか?

A1: 性病が原因の場合もありますが、すべてがそうではありません。感染性でないケースも多々あります。

Q2: 血精液症は自然に治りますか?

A2: 多くのケースで自然治癒します。ただし、繰り返す場合は検査が必要です。

Q3: 性行為を控える必要はありますか?

A3: 原因によります。感染症であれば控えるべきですが、その他の場合は制限されません。

Q4: 再発した場合はどうすればよいですか?

A4: 泌尿器科での再評価をおすすめします。慢性疾患が隠れている可能性があります。

Q5: 精液が茶色っぽいのは古い血ですか?

A5: その可能性があります。酸化した血液が混じると茶色に見えることがあります。

Q6: 痛みがないのに血が混じるのはなぜですか?

A6: 無症候性の出血もありえます。必ずしも痛みが伴うとは限りません。

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